suzuki takayuki 【men’s style book】
今回の企画は、メンズのイメージを具現化してみよう。という思いつきから始まりました。
レディースからブランドを始めたので、まだまだレディースのイメージが強く、
suzuki takayuki のメンズを知らない方々も多いと感じていたので、
何か強いイメージを打ち出したいと考え、この機会に何か形にしようと思いついたのです。
イメージの具現化をするにあたって、ますは、「自分が作った服を、どんな人に来て欲しいか?」という、
ある意味では良くある問いというか、ただ、またある意味ではとても根元的な問い掛けから始まりました。
実は今まで、特定のイメージとか人物とかを思い浮かべながら服を作ることというのが殆ど無く、
もちろん、衣装とか、marriage の方では、着ていただく方はその時その時で決まっているので、
その方に向けて作らせて頂いている訳ですが、
ブランドの服作りに関しては、一個人の方に向けての服作りというのは殆どしてこなかったのです。
他のブランドのデザイナーの方では、ミューズのような方がいて、その方に向けての服づくりをしていて、
それがイコールブランドの世界観や、雰囲気になっているという事もあると思うのですが、
私は、出来るだけ色々な方々に着ていただきたいと思っていて、
そして、その方々の年齢、性別、体型に対して、それぞれにピタリと合うポイントがあって、
なぜか皆さんが、それぞれに上手く着こなしていけるような、そんな服を目指していました。
そうすると、「こんな人に着て頂きたい!」という具体的な答えを出すのが難しかったのです。
嶋田久作
田中要次
私が思う「理想の服」とは、
相反する要素がすべて混在していて、
それが此処でしかバランスが取れないという1点でギリギリバランスが取れている服、、、、です。
そういう服は、一見、とっつきにくそうなのですが、
たくさんの要素が入っているので、その中で自分に合った部分が引き出され、
着用してみると何故か似合ってしまうという、面白いものなのです。
少し厳しそうに見えて、でも優しくて、複雑で、時に単純で、、、、、
長い年月を一緒に過ごすことが出来るものいつもと同じで安心感があり、
でもいつも新鮮な発見があって、生活を豊かにしてくれるもの。
そういうものが好きで、そういうものを作りたいと思っています。
そうすると、「どんな人に来て欲しいか?」というと、非常に難しいなと、、、、。
ただ、良い機会なので、一度真剣に考えてみたいなと思い、しばらく考えました。
というか、これは何年も前からずっと考えていた事でした。
展示会などで着用していただいた方々の姿を思い出し、
今までに行ったファッションショーや、舞台の現場などを思い浮かべ、
何か、自分の心に引っかかるポイントは無かったかと、過去を探ってみました。
そこで、そのポイントに一つの共通点が浮かび上がってきたのです。
それは、見た目や、年齢などにかかわらず、視線が印象に残っている人でした。
服から何かを感じ取ろうとしている人
自分なりに服を着ることを楽しんでいる人、楽しもうとしている人
自分なりの世界感、価値観を持っている人
その瞬間瞬間を大切にしている人、しようとしている人
何かを伝えたいと思っている人
潔い人
これは、私の印象でしかないので、実際にその方々がどうだったかは勿論分からないのですが、、、、
何だか、そんなことを感じられる人が私の心には引っかかっているようでした。
自分なりの強い意志を持っていて、自然体で、色んなものに興味を持てる人。
そんな人に着ていただけたら幸せだなと思いました。
そして、そんな人たちに着て頂けるような服を作りたいと、改めて感じました。
今回の企画は、私が着て頂きたいと強く感じた方々に着て頂き、形に残す事にしようと決めました。
眞島秀和
水間ロン
今回、とても素敵な縁から、ザズウ所属の俳優の方々に着て頂くことができました。
皆さま、個性的で、自分なりの価値観を持っていらしゃって、とても気持ちの良い方々でした。
私が着ていただきたいと感じている方々ばかりで、
幸せな企画を実現させて頂くことが出来て、関わってくださった方々に感謝の心でいっぱいです。
今、こんな時代だからこそ、
「自分なりの価値観と信念を持っていて、そしていつも自然体で優しい」
そんな方々と共に歩んでいきたいと思っていますし。そういう存在になれるお手伝いができると嬉しいです。
suzuki takayuki のメンズは、そんな思いを込めて作っています。
(何だか精神論だけになってしまったので、具体的な事は、また次の機会にお話しさせて頂きますね。
どうかよろしくお願いいたします。)
supported by zazous
model /
kyusaku shimada
yohji tanaka
hidekazu mashima
long mizuma
photographs / keisuke imamura
hair&make up / yuka saeki