message – 【2021 spring-summer collection “twinkling mist”】


message – 【2021 spring-summer collection “twinkling mist”】

 

 

 

twinkling mist

 

 

 

 

森の中

 

 

静寂のうちに ずっと霧がすべり込んできて

あっという間に視界が遮られる

 

真っ白な空間の中 少し落ち着かない気持ちでいたのだけれど

 

 

いつの間にか陽光が差し込み 世界がキラキラと かがやきはじめる

 

その美しさに心奪われ 時間を忘れ眺めていると  やさしく穏やかな心地よさにつつまれていた

 

 

 

 

白と碧と光の世界

 

 

 


 

今回のテーマは、「twinkling mist 」です。
文字通り、光り輝く霧のイメージです。

コロナウイルスの影響で、
長距離の移動はできるだけ避けた方が良い状況ですので、
私も自宅がある北海道の根室には帰る頃ができていない状況なのですが、
実は、根室はとても霧が多い土地です。

特に春から夏にかけては、
毎日のように海霧が発生し、真っ白に覆われてしまいます。

山谷もなく海に突き出た半島なので、霧とは無縁のようですが、
南からの暖かく湿った空気が冷たい海流で冷やされ、
海霧が発生しやすい土地なのです。

海からほど近い森に中を散策していると、
音もなくすっと現れて、
あっという間に周りは白い空間に変わってしまいます。

霧が濃い時には、数m先が見えなくなってしまうほどの真っ白な世界。

今まで見えていた木々が消え、遠くに見えていた水平線や、
牧草地の丘陵も全く見えなくなってしまいます。

視界が遮られ、聞こえるのは自分の足音と、
遠くから聞こえる波の音、風に吹かれ擦れる木々の葉の音だけ。

少し、怖い気がして不安になるのですが、
その空間に慣れた頃には、霧は晴れ、また光が差し込んできます。

霧の粒が光に反射し、キラキラと輝き始め、すっと元の世界に戻って行く。
その瞬間がとても好きです。

白い世界から、森の緑の世界が現れ始めるその短い時間。
安堵感と共に、キラキラと美しい空間に包まれている感動が重なり、
なんとも言えない気持ちになります。

そんな心地良い感覚を感じていただきたく、服を作りました。

霧の中の、少しひやりとした感覚を表現するため、
シルクやレーヨンを入れた素材を多く使っています。
また、さらりと心地良い風を意識した、軽やかな麻素材も多く使用しています。

今回のテーマカラーは、spray green を選びました。
少しスモーキーで、落ち着いたブルーグリーン。

霧の中から現れつつある木々の碧をイメージしました。
緑とも青とも言えない絶妙な中間色で、
落ち着いた上品さがあり、爽やかさも感じられる特別な色です。

シルクやレーヨン混の光沢感のある素材と合わさると、
しなやかさのある魅力的な印象を与えてくれます。

生地の分量感にもこだわりました、
今回は空間に包まれている感覚を感じていただく為、
いつもより少し生地の分量を多くしています。

軽やかでさらりとした生地を贅沢に使うことで、
心地良い空気に包まれているような雰囲気を感じていただけるとありがたいです。

suzuki takayuki が作り上げた「twinkling mist」の世界を ぜひ体感してみてください。

まだしばらく不安な社会状況が続きそうではありますが、
やさしい服たちに包まれて、少しでも平安と喜びを感じていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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