message – 【2021-22 autumn-winter collection “ancient forest”】
ancient forest
最近、思い出されるのは
もうしばらく訪れることができていない土地のことです
そこは、私の最も好きな土地の一つで
海から原生林へと続く 美しい風景が印象的な土地
そこは、砂浜、草原、森林、湿地、干潟とグラデーションように続いていて
3000 年前から 1500 年前くらいに今の形になって以来 人の手の入っていない 太古の森
たくさんの生命が息づき 命の誕生から死 そしてまた誕生と
生命の循環を強く感じられる美しい土地
全ての生き物が複雑に関係しながら共存し
本当に豊かで どこを切り取っても心から美しいと思える 私にとってとても大切な場所です
その土地を訪れるたび 生きていくことの厳しさと喜びの両方を感じ また頑張ろうと思えるのです
世界は、どんどん複雑になってしまいましたが 本当はとてもシンプルで
孤独で 冷たく 理不尽で 自分勝手で
それでも 支え合い 補い合い 思いやり
そして、愛に溢れ、限りなく優しい
suzuki takayuki
今回は、古代の森をイメージして作品を作りました。
私にとって、とても大切な場所の一つです。
それは、汽水湖のほとりにある原生林で、とても美しい場所です。
もともと、私は、森が近いところで育ったので、
自然があるところだと安心するのですが、
この場所は特にそういった感覚を呼び起こしてくれます。
とても豊かな森で、たくさんの生命が共存しあっている、
どこを切り取っても美しい世界なのです。
今年芽吹いたばかりの若木も、
数え切れない年月そこに存在し続けた大木も、
目に見えない小さな菌類も、
オオワシや、ヒグマなどの大きな動物も、
その森に寄り添って生きています。
砂地の上にできた森なので、暴風雨で木が倒れてしまっているので、
何千年という巨木はないのかもしれないのですが、
倒れた木々を苗床に、たくさんの生物が育っている様子は、
本当に美しく、心を震わせてくれます。
今回の服達は、そんな、大切な森をイメージして産まれたものになります。
今回のシーズンカラーは、khaki (カーキ) です。
しかし、単色のカーキということではなく、
素材によってかなり色を使い分けています。
グリーン寄りのカーキもあれば、茶色っぽいものもあって、
重ね着をして、コーディネートをすることで、
複雑に絡み合った森のようなイメージを体現できるうように考えました。
素材ですが、今回はリネン素材が多く使われています。
太い糸を使ってしっかりと織り上げたものや、
起毛してふっくらと仕上げたものなど、様々に加工を施したリネン生地が並びます。
麻は起毛することで、空気を孕み保温力が上がりますので、
近年の、比較的暖かくなってきている気候においては、非常に程よい素材だと考えています。
秋冬シーズンですが、リネン素材の重要度は上がってきていると感じています。
衣服は、人の最も近くにあるものの一つで、人の気持ちに作用するものだと考えています。
今シーズンの自然をイメージした服を着て頂くことが、
気分転換や、安心感を得る切っ掛けになってくれれば嬉しいです。
スズキタカユキ