message – 【peasant dress / part.4】designer’s comment


デザイナー/スズキ インタビュー |

”peasant dress”は、

お客様と一緒に作り上げることのできた洋服です。

suzuki takayukiの女性スタッフは、全員1枚は持っている《peasant dress》。

そしてお客様からも大変ご好評をいただいているワンピースで、
毎シーズンなくてはならないアイテムの一つでもあります。

part.1-3では、《peasant dress》について、
女性スタッフのコーディネートを紹介させていただいてきました。

このpart.4では、デザイナー/スズキにもお話しを聞いております。
私たちスタッフも深く知らなかった内容もあり、非常に興味深いものになっておりますので、
ご一読いただけましたら幸いです。

『明日は、お気に入りのpeasant dressを着よう』

そう自然と思ってしまうような、そんなひと時でした。


目次:

peasant dressの着想/ルーツは何ですか?


peasant dressを作る上でのこだわりはどこですか?


スズキさんが感じる、peasant dressのいいところを教えてください。


おすすめのコーディネートを教えてください。


Q:peasant dressの着想/ルーツは何ですか?

A:

peasantという名前の通り、農夫・農夫風のドレスです。

なので、あくまでも普段着感のあるものであって、
〈仕事にも使えるし、普段のお家でも使える〉
そういう使いやすいワンピースを作りたい、と思ったことが元々の着想です。

世の中にあるワンピースドレスの形は、大きく分けると、いくつかの形に分類されると思います。

例えば、ウエスト切り替えのものや、フレア、ギャザーが寄っているもの、
スリットが入っているもなど、ある程度の分類があって、

その中で、普段着ることができるもの、着やすいものを考えた時、
いくつかに限定されてくるのですが、
やはり、分類されるものは、カジュアルなものが多いなと感じていました。

−フォーマル感のある、上品なワンピースドレスを作りたい。

もちろん、普段から着れるものではあるのですが、

少し上品で、エレガントな雰囲気があったり、

お家の中だけではない、その周りも含めた普段の生活の中で、
大人が自分らしく自然体で居られるものを作りたいという気持ちが強くありました。

peasant dress / nude

私は、1800年代後半から1900年代初頭の、
大量生産に入る前の効率化しすぎない、まだ余白のある時代、
手作りの温もりが残っている年代のものがとても好きなのですが、

その時のものは、ちょっとした雰囲気なのですが、
何か上品さと、少し力の抜けたような、馴染みやすい雰囲気のバランスがとても良いと思っています。

ですので、suzuki takayukiの洋服は、この時代の服達をルーツとして考えているものが多いです。

この peasant dress も、そういった雰囲気を持ったものに作り上げたいと考えていました。

Q:peasant dressを作る上でのこだわりはどこですか?

A:

実は、peasant dressは最初からワンピースとして完成していたものではなく、
peasant blouseというブラウスを昔作っていて、これが原型なんです。

peasant blouseは、
1800年代後半頃の農業を営んでいた方が着ていたであろうものの特徴を使った、少し牧歌的なブラウスでした。

もちろん、そのブラウスも気に入ったものではあったのですが、

当時、新しい普遍的なワンピースドレスを作ろうと考えていたところ、

『このpeasant blouseのバランスを変えていくこと、
そこから変形していくことで完成度の高いものになるのではないだろうか?』

と思い付き、そこから peasant dress を作り上げていきました。

peasant dressは、構造的には被りのワンピースなのでとてもシンプルです。

ですが、シンプルだからこそ、
布の分量や、残されたディティールにとてもこだわっています。

一見、とてもシンプルなんですけど、
細かいところを吟味することで、最終的に特殊なものになっています。

−袖付けのバランスを大切にしています。

どういうことがこだわりかというと、
一番は、”袖付けのバランス”だと思っています。

当時のパターン(型紙)は、
今とは異なる袖の付け方をしていたり、
特に女性服は、姿勢の作り方のバランスが違うんですよ。

1800年代後半から1900年代初頭は、コルセットが存在し、
また、そこ少しずつから解放されて行く時代でもあるので、
やっぱり今とは姿勢が少し違うんですよね。

袖付けのバランスも異なっていて、
前身頃と後身頃の面積のバランスもまた少し違っていて、

そういう所を、今の人たちが動きにくくならないギリギリのところで少し残すことで、
ちょっとした違和感や個性が生まれるんです。

当時と今との体型の間をとっていくことで、どのバランスがいいのかをコントロールして行く。

そうすると、 クラシック感が少し残る。

−このちょっとした違和感、ちょっとした個性みたいなものがこのワンピースの大きな特徴だと思っています。

peasant dressが一般的なカジュアルな被りのワンピースと比べると、
少し特徴があったりとか、雰囲気が出てくるのはこういう所だと思います。

ギリギリの所でのパターンのバランスには凄くこだわっていますね。

あとは、適正な生地の分量。

suzuki takayukiの服は一般的なものと比べると生地分量は多いですが、

生地が多すぎると、普段の生活では動きにくくなってしまう。
でも量が少なすぎると、エレガントさや、特別感がなくなってしまう。

これもギリギリのラインを見極めています。

peasant dressは、構造としてはそこまで複雑ではない反面、

とても細かい範囲内で生地の分量や、形・構造のせめぎ合いが凄くあるので、
この辺りが自分として非常にこだわっている部分です。

Q:スズキさんが感じる、peasant dressのいいところを教えてください。

A:

peasant dressのいいところは、着てくれている皆さんの方がわかっていると思います。
残念ながら、私は実際にpeasant dressを着ることは無いので、、、(笑)

ものの良さは、使って行くことで深く分かって行くこともあると思います。

とてもありがたいことに、peasant dressは皆様からご好評いただいているので、
長い年月作り続けられています。

この長い年月の積み重ねがとても需要で、
少しずつ修正を加えたり、細かなマイナーチェンジをすることでより完成度の高いものになりました。

−”peasant dress”は、お客様と一緒に作り上げることのできた洋服です。

peasant dressは、私達、ブランド側だけで作って来たわけではなく、

長く着ていただくことによって、
たくさんのお客様からのフィードバックをいただき、
それらを全て合わせながら、グレードアップしていったという認識があります。

私達だけでは気づかなかった部分もとても多いです。

ですので、”お客様と一緒に作り上げていったもの”というように、私は思っていて、
この完成度の高さは自分だけでは出来なかった事だと思いますし、

そういう所が、とても気に入っていて、私にとっても大切な1枚です。

Q:最後に、peasant dressのおすすめのコーディネートを教えてください。

A:

洋服の似合う、似合わないのほとんどは
“身体とのバランス・サイズ感”なんですよね。

このサイズ感というのは、ジャストサイズということではなくて、
ご自身の身体に合ったバランスを見極める事がとても重要だと考えています。

peasant dress は、細かなバランス調整により、身長や体型に関わらず、
シンプルに着ていただいて、そのままで馴染むようにしていますが、

合わせ方の例であれば、

高身長の方は、ワンピースの丈感が短くなってしまうので、
ワイドパンツや、ロングスカートなどのボリュームのあるボトムスと合わせると綺麗ですし、

逆に、低身長の方は、ウエストをキュッとベルトで締めてブラウジングさせたり、
長めの丈の羽織を重ねたりとコーディネートを組んでも、素敵に着ていただけます。

平均的な身長の方は、上記の両方の着方で楽しんでいただきたいです。

勿論、それぞれこういうコーディネートの仕方もあるんですが、

ワンピースとか、シンプルな着こなしを楽しむアイテムに関してのおすすめは、
自分に合ったサイズに思い切ってお直しをすることかもしれません。

サイズ感の調整は、コーディネートの基本として大切だと思っています。
(着丈を伸ばすことは少し難しいのですが、、)

−自分に合ったサイズ感を見つけることも含め、”peasant dress”楽しんでいただけたら嬉しいです。

お家で鏡の前で安全ピンなどを使って、裾を折ってみて、
『どういう丈がいいかな?』って見つけることも楽しんでもらえたら嬉しいですね。

 peasant dress / dawn red
bottoms : easy pants / beige

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

peasant dressがもっと好きになる、
きっかけになりましたらとても嬉しいです。

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