message – 【2023 spring-summer collection “calling for the dawn”】


message – 【2023 spring-summer collection “calling for the dawn”】

 

 

 

 

 

calling for the dawn

 

 

 

静寂の時間から

 

あたりが  少しずつ  明るくなってくる

闇の中にあった木々たちも 薄らと輪郭を帯びてきて 姿を現しはじめる

 

 

日がのぼる

 

白い光が差し込んできて 全てを包んでいく

赤い太陽が、徐々に姿を見せる

 

 

また 新しい1日が始まる

 

 

 

 

それは もう何億年も繰り返されてきたことで

何か特別な意味があるわけでもなく 当たり前の出来事なのだけど

 

 

ふとした時に見る その風景は 力強く 自分を後押ししてくれる

 

 

 

 

 

suzuki takayuki


今回のテーマは、 〝 calling for the dawn 〟です。
〝夜明けを待っている〟、〝夜明けを待ち望んでいる〟
という意味で考えました。

 

夜が明け、太陽が昇ってくる。
このこと自体は、地球が出来てから、
もう何億年も繰り返されてきたことで、
何か意味があるわけではなく、
自転によって引き起こされる事象だと思うのですが、

ただ、ふとしたタイミングで
夜明けの瞬間を目にすると、
なんだか神々しさを感じて、
自分を後押ししてくれるような、
何か一歩踏み出す勇気を与えてくれるような、
特別な感覚をおぼえるのです。

 

それは自分にとって、とても大切なことでした。

 

服を着るという行為も、ほとんど毎日繰り返される事で、
特別な機会ではない限り、
その事自体に意味を持たない可能性があります。

ただ、ふとしたタイミングで選んでだ服たちが、
何か自分を応援してくれるような、
安心させてくれるような、
そんな気持ちにさせてくれるのであれば、
それはとても素敵な事だと考えました。

無論、それは個人的な事であり、
意識的に起こせる事ではないと思いますが、
今回は、そういう気持ちを込めて服たちを作りました。

 

ここ何シーズンか、
柔らかい雰囲気や色合いをイメージしたコレクションが続いていたので、
今回は、少し力強さを意識しています。

生地の質感や分量も、少し多めにしていたり、
風合いに特徴のあるものも選んでいます。
また、色味も調整をしていて、
いつものシーズンに比べると、
nudeカラーを白に近い色にしています。

それは、
差し込んでくる朝日の
白い光のイメージでもあるのですが、
普段、実は意識的に避けている白という色味の、
力強くクリーンな雰囲気を取り入れる為でもありました。

 

色味のお話をすると、
今回のテーマカラーは、
今、お話しした光のイメージの白っぽい nude カラー、
そして、昇る朝日を象徴する、鮮やかな赤、
夜明けの薄明るい空の紫がかったグレーになります。

 

赤とグレーは、
それぞれ、dawn red 、twilight grey としています。
同じ名前の色でも、
それぞれ素材やアイテムの種類によって
少しずつ変えているものもあります。

 

dawn red は、発色の良い透明感のある赤なのですが、
少しだけトーンを落として、
着用しやすいお色に調整しています。
アイテムによって青味に寄せたり、
黄色みに寄せたりして少し幅を持たせています。
お気に入りの「赤」を見つけていただけると嬉しいです。

同じく twilight grey も色味の幅を少し持たせています。
暗くなりがちな濃いめのグレーですが、
透明感を持たせる様にして軽やかに仕上げました。

 

夜明けの風景をイメージした、
nude、dawn red 、twilight grey の3色を
是非お楽しみください。

 

素材としては、
今回は春夏シーズンですので麻素材を多く使っています。
毎回の事ではあるのですが、
麻という素材は糸の太さや撚り、
織りの密度によって、
本当にさまざまな姿を見せてくれます。
「同じ素材でこんなにも振り幅があるのか!」と
作りながら感心し、とても嬉しくなってしまいます。

 

極細の節の少ない綺麗な糸を使って
ガーゼ調に織ったもの、
逆に節のある糸を使ってザックリ織り上げ、
生地にしてから縮めるなど加工を施したもの。
綾織や、ヘリンボン織など
織り方にも細かな変化を付けています。
和紙と混ぜて
ハリのあるマットな質感を表現したものもあれば、
美しい糸を使って綾織に仕上げ、
落ち着いた上品な光沢を出したものなど、
多岐に渡ります。

また、麻以外にも、キュプラやレーヨン、シルクなど、
光沢のあるものも様々なものを使っています。
それぞれの特徴を生かしつつ、
時に組み合わせて程よいバランスに仕上げています。

 

今回もインドカディを作っています。
太い糸と細い糸を組み合わせた
オリジナルの格子柄のものをご準備しています。
透け感の違いが面白く、
色のものと重ねていただいたり
組み合わせていただくと印象的です。

 

その他に、suzuki takayuki では珍しく、
高密度で織り上げたコットン生地も使っています。
カジュアルさもあり、
いつもと違った雰囲気を感じていただけると思います。

 

素材や色の振り幅を持たせ、
いつも以上に細かなバランスを調整しながら
仕上げています。

 

ふとした瞬間に、
少しポジティブな気持ちにさせてくれるような、
後押ししてくれるような、、、
この時代だからこそ、
一歩踏み出す勇気を与えてくれるような。
そんな思いを込めて作り上げました。

 

どうか、ご覧くださいませ。

 

 

 

スズキタカユキ

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