message – 【2026 spring-summer collection “emulsifying”】





emulsifying



それは どこにでもある 緩やかな坂道の途中の
歩道から道路脇の小道に降りていく 小さなコンクリートの階段で

ちょうど 桜の花の満開から 1 週間くらい経った後だったと思うのですが
葉が出始め 花が散り始めていて 花吹雪が本当に綺麗な日でした

自分は ふと目にした その階段脇に溜まった花びらに とても惹かれていました

どこにでもあるような 何気ない景色で
しばらくしたら 風に吹かれて無くなってしまう
普段であれば 気にもならない そんな風景の中の一部だったのですが

その時の自分には とても意味のあるものに感じました

花びらとコンクリート
全く違う 二つの物の組み合わせが 何故か とても調和していてるように感じて

気にも留まらない小さな階段と そこに降り積もった少し汚れた花弁

その組み合わせに 何だか少しだけ寂しさも感じて
懐かしい昔の記憶の中で 何度も思い出される美しい風景のような

何か 得も言えない 魅力を感じてしまったのです



私は 相反する多くの要素が ここでしか成立しないという 絶妙なバランスで共存していて
そして その境界が曖昧になって 一つのものとして存在している状態や物に とても強く惹かれます

だからこそ suzuki takayuki の服は 出来るだけ多くの要素が入 っていて
それらが それぞれの良さを失わない状態で調和し 一つになっているものを目指しています

そういう服たちは
内包する多くの要素の中から
着る人の個性に合ったものを結びつかせ それぞれを引き立ててくれるので
年齢や体型などに関わらず 皆を素敵に見せてくれるのです

原始的な荒々しさの中に 未来的なイメージも感じられ
男性的な力強さがありつつも しなやかで女性的な魅力を持ち
優しい柔らかさがありつつ シャープなカッティングで仕立てられている
フォーマルで特別な贅沢さを纏いつつも カジュアルで使い勝手の良さもある
粗野で 素材そのままの風合いがありつつ エレガントな上質さを兼ね備えており
とても多くの生地を使っていながらも 驚くほど軽く仕上がっている

そして
着る人を受け入れる隙間があり
上品さと精神的な豊さを感じられる  丁寧に作られた服



そんな服を いつか作りたいと思っています



suzuki takayuki





今回のテーマは、“emulsifying ” です。
emulsifying (エマルシファイング)とは、《乳化》の意味で、
水と油のように本来混ざり合わない液体同士が
ある特別な条件下で、混ざり合った状態になる現象のことです。

春の日に、ふと目にした 「花びらとコンクリート 」。
有機物と無機物、フェミニンな桜色とシャープな灰色。
全く違う 二つの物の組み合わせが、その瞬間、何故か とても心地よく感じられました。

そんな、相反する要素が、心地よく同居する服たちを意識して制作したコレクションになります。

私は 数多くの要素が複雑に含まれており、
相対する要素も含め、様々な要素がここでしか成立しないという絶妙なバランスで共存していて
その境界が曖昧になって 一つのものとして存在している状態や物に とても強く惹かれます 。

そして、自分もそういった服を作っていきたいと考えています。

そういう服たちは、
その内包する多くの要素の中から 着る人の個性に合ったものを結びつかせ、
それぞれを引き立ててくれるので 、年齢や体型などに関わらず 皆を素敵に見せてくれるのです 。

自分が追い求める「良い服」というものの1つが、そこに在るのではないかと強く感じています。


今回のシーズンカラーは、
その印象的な「花びらとコンクリート 」に色を意識した、ピンクとグレーです。

少しフェミニンで可愛らしい色と、無機質な色の両方を選んでいます。
それらを組み合わせることによって、特別なバランスの印象に仕上げています。
特にピンクは、今までのように彩度や色相に変化をつけた、
30色もの様々な色味をご準備していますので、
自分に合った特別な1枚を見つけていただけるとありがたいです。

今までの suzuki takayuki では使ったことの無かったビビットな色味のピンクもご準備しています。
empire rose や、opera などと名付けれらた彩やかなピンクは、
グレーや黒などの無機質な色と組み合わせると、
その華やかさの中に、落ち着いた上品さを感じられる印象になりとてもお勧めです。

素材としては、春夏シーズンなのでやはり麻素材を多く使っています。
糸の質感や、織の密度を変えながら、重さや質感に変化をつけています。

また、いつもよりも少しだけコットン素材も多く使っています。
麻などの異素材と混紡したり加工を施すことによって、
柔らかさや使い勝手の良さなど、素材の特徴が活きるように考えました。

そして、実験的ではありますが、シルク100%のものも使っています。
扱いづらいイメージがありますが、素材としてはやはり素晴らしく、
しなやかで落ち着いた上品な光沢感があり、サラリっとしたきめの細かい上質感に加え、
優れた吸湿、放湿性もあるという特別な素材です。

それ以外ですと、ウール混の素材も使っています。
サマーウールと呼ばれるものがあるように、撚糸を強め、さらりとした風合いに仕上げたウールは、
通気性、吸湿、放湿性に優れ、清涼感のある肌触りを感じられるので、春夏のシーズンにも使い勝手は良いです。

全体としては、少し特徴のあるアイテムが多いかもしれません。
春夏シーズンは、年々、夏の暑い季節が長くなり、
重ね着をするというよりも、1枚で着ることが多くなると思いますので、
1枚で着ても様になる、単体で少し強さのある服を多く作りました。

いつもよりも、シルエットや構造に少し主張を持たせ、
量感を増やしたり、多少デザイン性の強いものをご準備しています。
少し特別感や高揚感を感じていただけるものも有ると思います。

様々な要素が複雑に内包されていて、
相反する多くの要素が存在し、それぞれの良さを活かしつつも
共存できるバランスを試行錯誤した、思い入れ深いコレクションです。

普段、似合わないなと思っているものや、着たことが無い色味にも、
ぜひ挑戦していただいて、自分の新しい魅力を見つけてみてください。

どうか、お楽しみくださいませ。

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