message – 【suzuki takayuki 2027 spring-summer collection “ vernacular ”】






vernacular


古い街並みの 石垣の上から
外に向かって咲く 連翹 の花がとても印象的でした

春といえば 梅 桜 菜の花 たんぽぽ 藤 と
野草も含め ほんとうに多くの花々が咲きほこる季節ですが
そのときは 連翹の花にとても惹きつけられていました

それは 遠い昔を思い出したからかもしれません

実家の庭先に連翹が植えられていて
毎年 その彩やかな花が咲くことを楽しみに待っていた記憶です

その明るくて 力強く 生命力に溢れた姿から
本格的な春の訪れと 明日への希望を感じられて

喜びと優しさに満ちた その空気に触れられることを
少し気恥ずかしさもあったのですが 心待ちにしていたのを思い出しました

庭先で ほとんどの季節をひっそりと佇み
春の訪れと共に 希望の輝きを帯びた姿を見せてくれる
そして そのほんの少しだけ異国情緒の薫る姿に 惹き寄せられていました


いろいろな説がありますが
連翹は 古くに渡来した植物とされ
長い年月を経て この土地の風景に自然と溶け込んできたものらしいです

植物学的には 帰化種 と呼ばれるものがあり
はるか昔に渡来し 長い時間をかけ その土地で根を張り
いつしか風景のひつとになったもののようです

帰化種には多くの種類のものがあり
オオバコやナズナ クスノキなども その種に分かれるという意見もあります

とてつもない距離を渡り 途方もない時間をかけて
その植物は その土地に溶け込み その土地らしいものへ変化していった

そしてその変化は 今も続いている


人だけではなく 様々なものが旅をし 時間をかけながら土地に馴染んでいく

それは文化も同じで 回遊し滞在し 様々な変化を繰り返し
多様性に満ちた美しい世界を作っている

服も その一つだと思います

日本で 洋服が日常のものになってから 百数十年
少しずつ変化を繰り返している


この土地ならではの この土地だからこそ生まれた服
そんな 独自の特性と精神性を持った 本当に美しい服が生まれていくのだろう

その長い時間の流れの先にある服
そういうものへ 少しつづでも近づけていきたいと思っています




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今回のテーマは 『 vernacular 』です。

vernacular とは、
“ 人の営みの中で、時間をかけて土地に根づいたもの” という意味を持つ言葉です。

今回のコレクションは、ある風景から始まっています。

それは、古い街並みの 石垣の上から
外に向かって咲く 光を発しているような連翹(レンギョウ) の花の姿だったのですが、
自分の中の、古い記憶の中にあった思いとも結びついて、とても思い入れの深いものとなりました。

連翹は、古くに日本へ渡来した植物とされています。

長い年月を経て、いつしかこの土地の風景として根付き、
自然に、ひとつの風景として溶け込んだものだそうです。

人や文化も同じように旅をして、いろいろな土地へ訪れ、その土地に根差し、
時を重ねながら変化を繰り返し、多様性に満ちた美しい世界を育んでいます。

服もまた同様で、日本で洋服が日常のものとなってから、
長い年月をかけ変化を繰り返し、この土地ならではの精神性や、
特別な美しさを持つものに育っていくのだと思います。

元々は西洋のものでありながら、日本という土地の精神性を内包し、
ある意味で、どこのものでもない、独自の価値観で出来上がった美しいもの、
そんな洋服を目指し、作り上げられたコレクションとなっています。


シーズンカラーは、彩やかな黄色と、少し灰がかった水色です。

テーマが生み出されたきっかけとなった、連翹の花の色。
少しだけ寒々しさがありながら、彩やかで、繊細さと力強い生命力の同居する、稀有な色です。

また、北の大地で、連翹が咲く季節は、桜よりも少し早い季節で、
本格的な春ということではなく、少し燻んだような曇り空が広がる季節で、
地表に青々とした表情は無く、まだ草木が芽吹く前の冬の気配が残る世界です。

そんなイメージを表現した、少し灰がかった繊細な水色を作りました。


素材としては、春夏シーズンですので、麻素材が多くなっています。
糸の撚りを緻密にコントロールし、密度を何度も実験しながら作った特別な素材です。

また、いつものシーズンに比べると、麻にコットンやウールなどを組み合わせ、
安定感や、柔らかさ、素材感のバランスを整えたものが多い印象です。

そのため、肌馴染みがよく、また、普段のお手入れがしやすくなり、
お洗濯も多い春夏シーズンに使い勝手の良いものに仕上がっています。



このコレクションは、
ある意味、日本的な、分かりやすいジャパニズムとは違った、
自分が、今の、日常の日本というものから感じられる、意識やバランスを考えています。

それは、言葉では説明しづらい、自然から着想を得た絶妙なバランスの中間色であったり、
力や空気の流れを意識したシルエットのバランスに現れている可能性が高いと感じました。

色に関しては、先ほどお伝えしたように、できる限り、単純に説明しきれない、
自然から着想を得た、美しい中間色を選んでいます。

シルエットに関しては、生地の密度や分量感、
シルエットに関しては、生地の密度や分量感、
そして、その分量をどこに乗せるかということに留意しています。

特に、ブラウスやワンピースなどでは、
ギャザーやフレアーなどの技法を使った分量感の多いアイテムが多くなっています。

身体のどこに、どのくらいの量の生地の乗せると、美しい流れと広がりが生まれるのかと、
生地の量感や広がりのポイントは、何度も実験を重ねながら、時間をかけて仕上げています。

そのせいか、少しやわらかな印象のラインナップが多い様に感じられます。
また、エレガントさとカジュアルさのバランスの中にも、その日本らしさというものがあると考え、
素材や、シルエットのバランスの中にある上品さを、緻密に調整をして作り上げました。

常に意識している事ではありますが、
上品さとラフさ、カジュアルさとエレガントさ、フェミニンさとマスキュリンさなど、
相反するイメージが絶妙なバランスで同居するものが、
ある意味で、とても日本的であり、

また、ある意味でどこのものでもない、ニュートラルなものであり、
そして、普遍的でありながら、確実に現在のものであるという、
今回の答えにつながっているものだと深く感じています。


自分たちが美しいと感じ、目指してきたもの、
ほんの少しですが、その欠片を意識できた、自分にとっても思い入れ深いコレクションです。

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